戸籍・除籍・改製原戸籍の謄抄本とは

松谷司法書士の写真

戸籍を出生まで遡って取り寄せるとはどういうことでしょうか?

遺産相続の手続きでは、しばしば、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍が要求されます。出生から死亡までの戸籍を確認することで、相続人が確定できるからです。このページでは、戸籍を出生まで遡って取り寄せる方法について、司法書士が説明しています。

なぜ戸籍を出生まで遡る必要があるのか

被相続人の戸籍を遡って集めるのは、相続人を確定するためです。たとえば、他の相続人の誰も知らない子どもがいるようなケースもありますので、その子が相続の手続きから漏れてしまうことの無いよう、出生まですべての戸籍を遡って、内容を確認します。

たとえば、結婚前にできた子供が養子縁組によって除籍されていた場合には、結婚後の戸籍にはその子供が記載されないことになります。このような隠れた相続人が存在する可能性をなくすためには、出生までのすべての戸籍を遡って取得して確認する必要があるのです。

戸籍の焼失などにより、出生まで戸籍を遡ることができない場合もありますが、そのような場合には、10歳未満ぐらいまで遡ることができれば、手続きは問題なく進められることが多いです。10歳未満で子どもがいるということは考えにくいためです。

戸籍を遡って取得する具体的方法

「被相続人の出生から死亡までの戸籍」を揃えるためには、まず被相続人の最後の戸籍をとり、そこから順次さかのぼっていき、出生まですべての戸籍を揃えるという作業が必要となります。

まず最初に、被相続人の最後の本籍地の役所で、最終の戸籍謄本を取り、その内容を読みます。

通常、最終の戸籍は、横書きになっている場合が多いと思います。これは、法令の改正により、従来縦書きであった戸籍の形式が変更されているためです。このような、法令の改正による戸籍の形式の変更を、「改製」といいます。最終の戸籍に「改製」の記載があれば、次に取るのは、改製前の戸籍「原戸籍」です。原戸籍を取って、また内容を読みます。

原戸籍の前の戸籍はどこになっているでしょうか。例えば「転籍」の記載があれば、転籍前の本籍地の役所で、除籍謄本をとる必要があります。もし原戸籍が「婚姻」により編成された戸籍であれば、その前の戸籍は婚姻前の父母の戸籍ということになりますので、婚姻前の父母の本籍地の役所で、父又は母が筆頭者となっている戸籍をとる必要があります。

このようにして、最終の戸籍から順々に内容を読み、従前の戸籍を示す「改製」「転籍」「婚姻」などの記載を探して、追っていきます。「分籍」「養子縁組」なども追跡する必要があります。戸籍を徐々に遡って行くと、現行の戸籍(昭和23年式戸籍・平成6年式戸籍)とは形式が異なる古い形式の戸籍が出てくることがあります。

現行の戸籍と、大正4年式戸籍や明治31年式戸籍のような古い形式の戸籍の一番の違いは、その編成の基本単位が「家」なのか「夫婦」なのかという点です。大正4年式戸籍以前の古い形式の戸籍は「家」を基本として編成されています。これが、昭和23年式戸籍以降では「夫婦」を基本単位とするように変更されました。

したがって、「家」を基本単位として編成されている古い形式の戸籍には「分家」「家督相続」「廃家」などの記載があるかもしれません。これらの記載がある場合には、分家等が起こる前の戸籍を追跡し、さらに古い戸籍へと遡って行きます。

そして、被相続人の出生時、あるいは被相続人が10歳未満の時に編成された戸籍にまで遡ることができれば、これで追跡は完了です。

戸籍の請求の方法

戸籍は、本籍地のある市町村役場の窓口で取得することができます。本籍地の役所が遠方で、窓口まで出向くのが難しい場合には、返信用封筒と必要な手数料を添えて郵送で請求して取得することもできます。郵送の場合の手数料は、定額小為替で納めて下さい。定額小為替は、郵便局で売っています。

戸籍を取得するための手数料については政令で定められており、戸籍謄本は一通450円、除籍謄本、原戸籍謄本は一通750円です。郵送請求の際、「被相続人の出生から死亡まで」のような請求をするのであれば、小為替は少し多めに入れておくようにしましょう。被相続人の出生から死亡までに、何通の戸籍が編成されているかは、請求するまで分からないからです。戸籍1通、原戸籍1通、除籍3通が発行された場合には、3450円分の小為替が必要となります(450×1通、750円×4通)。

本籍地が分からない場合には、先に住民票を取ります。記載の省略のない住民票を請求すれば、その住民票の中に、本籍地の記載があります。

なお、戸籍は個人情報が記載された書類ですので、誰でも取れるというものではありません。戸籍が取れるのは、戸籍に記載されている方とその配偶者、直系尊属、直系卑属だけです。したがって、戸籍が別になっていれば、兄が弟の戸籍を取るということもできません。


【司法書士にご依頼いただくことが可能です】
戸籍を出生から死亡まで取るという作業は、簡単なようで、結構手間がかかります。もし戸籍を取りに行くお時間がないようであれば、相続登記の手続き等を司法書士にご依頼くだされば、依頼者様に代わって必要な戸籍をすべて収集致します。 ご相談はこちら→相談予約のページ

ページの先頭へ