松谷司法書士事務所

法定相続人と法定相続分

このページの著者
司法書士 松谷賢一郎

離婚すると戸籍はどうなりますか?

離婚の事実は、戸籍に記載されますが、戸籍の筆頭者以外の方については、復籍する場合、新戸籍をつくる場合など、いくつかのパターンがあります。
このページでは、離婚をした場合の戸籍変動について、司法書士が説明しています。

離婚に関する具体的な戸籍の記載方法

離婚を一回していると「バツ1」二回すると「バツ2」というような言い方をしたりすることがあります。これは、離婚をすると、離婚をした人の戸籍の名前の欄に、バツじるしがつくことからきています。

しかし実は、現在のコンピュータ化された横書きの戸籍では、離婚をした人の名前にバツじるしがつくことはありません(「除籍」とだけ記載されます)。
離婚をした人の名前にバツじるしをつけるのは、従来の縦書きの戸籍のときの記載の方法です。また、従来の縦書きの戸籍でも、バツじるしがつくのは、筆頭者以外の離婚当事者だけです。筆頭者は、離婚しても、バツじるしがつくことはありませんでした。

離婚をした場合の、筆頭者ではない当事者の戸籍の変動については、次の3つのパターンがあります。
①旧姓に戻り、もといた戸籍に戻る
②旧姓に戻り、新たな戸籍を作る
③婚姻時の姓を継続使用し、新しく戸籍をつくる

①もといた戸籍に戻る場合

離婚をした場合には原則として、もといた戸籍に戻ることになります。
ただし、戸籍の筆頭者は、もとの戸籍に戻ることはなく、身分事項欄に離婚の事実が記載されるだけです。たとえば、夫が戸籍の筆頭者であれば、離婚をすると、妻はもといた戸籍に戻り、夫はそのまま変動はないということになります。

また、もといた戸籍が除籍されている場合(戸籍内の全員が死亡している場合など)には、戻る戸籍が除籍されてなくなっているので、新戸籍を編製することとなります。

②新たな戸籍を作る場合

上記のとおり、もといた戸籍が除籍されている場合や、後に記載するような、婚姻時の姓を継続使用するような場合には、もといた戸籍に戻ることはできませんので、新しい戸籍を編製します。

新しい戸籍を編製するにあたり、本籍地はどこにおいてもよいということになっていますので、自由に選ぶことができます。
一番多いのは、離婚した後の住所地をを本籍地とするケースでしょう。このようにすれば、今後戸籍を取る必要が生じた場合に、近くの役所で取ることができ、便利です。

③結婚時の姓を継続使用し、
新しく戸籍をつくる場合

離婚後3カ月内に市区長村役場に届け出をすると、婚姻時の姓を使い続けることもできます。この場合には、姓がもといた戸籍とは姓が異なることになりますから、必ず新たな戸籍を作成することとなります。

届け出には、離婚した相手側の許可はいりません。期間内に届け出をするだけで、当然に婚姻中の姓を名乗ることができます。3ヶ月内に手続きをしなかった場合には、家庭裁判所に氏の変更許可の申立をする必要があります。
※氏の変更許可の申立について詳しくはこちら
(→ 裁判所のホームページ 氏の変更許可の申立

離婚後の子供の戸籍と姓

離婚する夫婦に子供がいる場合、離婚後の子供の戸籍はどうなるのでしょうか。

これについては、特に影響はありません。
上記のとおり、戸籍の筆頭者ではない離婚当事者は戸籍から抜けますが、子供の戸籍は、そのまま変動はありません。

子供の戸籍には変動がないのですから、子供の姓についても、離婚により変わることはありません。
したがって、たとえば、父が戸籍の筆頭者である場合(父の氏を称する婚姻の場合)に、母が従来の戸籍に戻れば、母と子の姓は違うものになるということになります。

これは、母親が親権者となった場合でも、変わることはありません。
もし、親権者である母と子の姓が違うという状態が不便で、これを同じにしようと思えば、家庭裁判所に子の氏の変更許可申立をすることとなります。
※氏の変更許可の申立について詳しくはこちら
(→ 裁判所のホームページ 氏の変更許可の申立

上記の例で、離婚後の母が婚姻中の姓を名乗る場合には、母と子の姓は同じになりますが、子は父の戸籍に入っているということになります。
このような場合に、母親と子供の戸籍を同じにしたい場合は、やはり子の氏の変更の手続きをする必要があります。

母親が婚姻時の氏を称しているのなら、母と子の氏が同じということになり、母と子が同じ戸籍に入るために子の氏の変更届けが必要というのは、少し変な気もしますが、これは、必要なのです。
なぜかと言いますと、同じ戸籍に入るには、氏が同じでなければいけませんが、このようなケースでの母の氏と子の氏は、形式的には同じでも、法律的には異なるものとされるためです。

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