戸籍・除籍・改製原戸籍の謄抄本とは

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戸籍・除籍・改製原戸籍の謄抄本とは

相続手続きには、相続関係を証明するために、戸籍謄本や除籍謄本、原戸籍謄本などが必要となります。
このページでは、これらの書類について、それぞれの違いや特徴、注意点、保存期間などについて説明しています。

戸籍謄本とは

戸籍謄本というのは、個人の氏名、生年月日のほか、出生や死亡、婚姻や離婚、養子縁組や離縁など、身分変動を記録する書類の写しです。本籍地の役所で請求します。

「謄本」というのは一般的に、記載されている内容の全部の写しというような意味で使われます。記載されている内容の一部の写しの場合には、「抄本」と呼ばれます。つまり戸籍謄本は、ひとつの戸籍に記載されている全員の身分関係に関する証明書であり、戸籍抄本というのは、その戸籍に記載されている一人に関する証明書ということになります。

戸籍が電算化(コンピュータ化)されている場合には、正式には謄本を「全部事項証明書」、抄本を「個人事項証明書」といいますが、一般的には、やはり全部事項証明書は戸籍謄本、個人事項証明書は戸籍抄本と呼ばれることが多いです。

除籍謄本とは

戸籍に記載されている人が死亡すると、その人は戸籍から除かれます。また、戸籍に記載されている人が結婚しても、その人は戸籍から抜けて新しい戸籍に移ります。このように、戸籍に記載されている人が結婚したり死亡したりすることで、一人ずつ戸籍から抜けて行き、最終的に戸籍に誰もいない状態になってしまうと、その戸籍は閉鎖されます。このようにして閉鎖された戸籍を、除籍といい、その写しを除籍謄本といいます。

また、本籍の場所は届け出をすることで移すことができます。これを「転籍」といいますが、転籍があった場合には従来の戸籍は閉鎖されます。このようにして閉鎖された戸籍の写しも、除籍謄本です。

改製原戸籍謄本とは

改製原戸籍とは、簡単に言いますと、戸籍の形式を変更する法律の改正によって閉鎖された、古い形式の戸籍です。

戸籍は、法令の改正により、現在までに何度か形式が変わっています。たとえば、昭和23年に戸籍法が改正され、戸籍の編製基準が変更となりました。具体的には、戸主とその両親や兄弟、子供で編成されていた従来の「3代戸籍」が廃止され、夫婦とその子供で編成する「2代戸籍」のみとする、とされました。これにより、祖父母と長男夫婦とその子供がひとつの戸籍の中で共存していたような場合、戸籍を作り変える必要がでてきます。このような法令の改正による戸籍の形式の変更を、「改製」といいます。

そして、改製により、古い戸籍は閉鎖されます。この、閉鎖された(作り変えられた古い方の)戸籍のことを、改製原戸籍謄本(「かいせいげんこせき」または「かいせいはらこせき」)といいます。

また、平成6年にも戸籍法が改正されました。従来の戸籍の様式は縦書きでしたが、戸籍管理がコンピュータ化されたことにより、横書きの様式に変更されました。この法改正により作り変えられた古い方の戸籍も、改製原戸籍です。


改製原戸籍の注意点

戸籍の改製があると、新たな戸籍に記載内容が移記されるのですが、このとき注意すべき点として、すべての内容が移記されるのではないということがあります。つまり、改製原戸籍には記載があった内容でも、改正後の戸籍には記載がない場合があるということです。

具体的にご説明します。たとえば戸籍に、夫婦とその子の記載があるとします。その子が婚姻すると、その子は戸籍から除かれます(婚姻により作成された新戸籍に入ります)。そして、その後に戸籍が改製された場合、改製により編成された新しい戸籍を見ると、その結婚した子については、全く記載されていません。したがって、改製より後のものだけでは、その子の存在について証明できないことになります。

相続手続きをする際に、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍を要求されるのは、このように、一部の戸籍のみを見たのでは相続人の一部が記載されていないことがあるためです。

除籍、改正原戸籍の保存期間

通常の戸籍については、除かれるまでは永遠に保存されます(戸籍に記載された全員が死亡したり、他の市役所の管轄に転籍したりすると、戸籍は除かれます)が、除籍については、除籍となった年度の翌年から150年で廃棄されます。改正原戸籍も同様です。

ちなみに、現在は保存期間が150年ですが、平成22年6月1日に取り扱いが変更されるまでは、除かれてから80年が保存期間でした。平均寿命の伸びにしたがって、伸長されたようです。

保存期間を経過した除籍・原戸籍は、取れません。各種手続きにおいて、これが問題になるケースがよくあります。被相続人の出生から死亡までの戸籍が完全に揃わないことにより、法定相続人の確定ができないからです。相続の手続きによって、その対応策は異なりますが、戸籍が取れないケースでは、一般の方では対応が難しいことが多いので、専門家にご相談下さい。

よくあるご質問

皆様より、よく頂くご質問・お問い合わせをまとめました。

自分の本籍地がわからないのですが、どうすれば調べられますか?
住民票には、本籍を記載してもらうことができます。住所地の役所で、本籍の記載を省略せずに住民票を発行してもらえば、本籍がわかります。
戸籍附票とは、どのような書類でしょうか?
「戸籍附票」という書類には、戸籍に記載されている方の住所の履歴が記載されています。住民票と違い、住所地ではなく本籍地の役所で取ります。 そこに本籍を置いている期間すべての住所の変遷が記載されているため、住民票よりも戸籍附票の方が古い住所まで証明できることが多いです。
戸籍の筆頭者とは、誰のことでしょうか?
筆頭者とは、戸籍の一番最初に名前が書いてある人のことです。ご結婚された方の戸籍の筆頭者は、ご結婚によって苗字が変わらなかった方となります。筆頭者は、亡くなっても変わりません。
戸籍には、有効期間がありますか?
戸籍自体に、有効期間の定めはありませんが、戸籍の提出先が有効期間を定めている場合があります。たとえば、相続登記の際に添付する場合、戸籍は何年も前のものであっても大丈夫ですが、金融機関に提出する戸籍については、3ヶ月~6ヶ月以内に発行されたものを要求されるところもあります。

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